橋本純さん(左)が水揚げした養殖のタイが、ピチピチとはねた=2019年3月29日午前9時17分、三重県南伊勢町阿曽浦
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政令指定都市以外の市や区町村のトップと議員を選ぶ統一地方選の後半戦では、地域経済の振興が主要な争点になることが多い。地場産業の担い手は地方議員の存在をどのように考えているのだろうか。
父は政治家というより活動家
熊野灘に面した三重県南伊勢町阿曽浦。合併前の旧南島町は隣の旧紀勢町(現大紀町)とともに、かつて中部電力芦浜原発の建設計画で揺れた。養殖マダイの出荷に追われる水産会社3代目の橋本純さん(44)の父は建設反対の立場で長年、南島町議を務めた。
芦浜原発の建設予定地だった海岸=1991年、三重県旧南島町、旧紀勢町
《父の剛匠(こうしょう)は自分が小学生のとき(1983年)から水産業をしながら、町議を務めました。阿曽浦は原発反対で固まっていました。それでも家への嫌がらせはしょっちゅう。注文していない小包が届き、夜中いっぱい電話が鳴った。おやじは政治家というより、デモクラシーの活動家という感じでした。》
橋本さんは建築を学ぶため、大阪の大学に進んだ後、英国に留学。帰国後に米ハワイへ渡り、銅板アーティストに弟子入りし、イルカと一緒に泳ぐセラピーにも関わった。
《商売や政治家を継ぐ気はなかったし、おやじからも言われなかった。でも、25、26歳くらいのときに実家で扱っていた魚が売れなくなり、母親から「帰ってきて」と頼まれました。商売を失敗したら、町から出ないといけない。僕が自由にできたのは結局、帰る家があるから。そこが無くなるかもしれないと思い、帰郷を決めました。》
■福島第一原発事故「やっ…