大分県中津市の市立豊陽(ほうよう)中学校が取り組む「ほめあう活動」が、2018年度「日教弘教育賞」の最優秀賞を受賞した。いじめ防止に応用できる点などが評価され、全国から寄せられた教育実践論文約2500編の中から選ばれた。
子どもって、すごい 発明・発想…「偉業」に大人も驚嘆
この賞は教職員約55万人が加盟する日本教育公務員弘済会(日教弘)が募集しており、今回で24回目。学校や個人の教育現場での取り組みを論文で発表するもので、県内から最優秀賞が選ばれるのは初めて。
論文は16年度から今年3月末まで校長を務めた山香昭さん(55)=現別府教育事務所長=が執筆した。着任時は集会での私語や服装の乱れが多く、教師の指導に従わない生徒らも目立った。一方、教師たちは「早く並ばんか」などと強い調子で指導しており、生徒との信頼関係が築かれていない状態だった。
これを改善しようと取り組んだのが、相手の価値を見つけて伝える「ほめる活動」。朝の会で一日の目標を決め、帰りの会の「ほめほめタイム」でお互いの良かった点をほめあい、拍手でたたえる。活動は教師にも自信を与え、保護者からも「家庭でも子どもをほめている」という声が寄せられているという。
山香さんらは3月28日、奥塚正典市長に受賞を報告。生徒会長の3年筧航輝君(14)は「日本一になったので、これまで以上にほめて、喜ばせて、自分もいい気持ちになりたい」。山香さんは「教師にとっても子どもを力で抑え込むのではなく、その子を認め、感謝することで充実感を感じている」と語った。(大畠正吾)