平成初日の1989年1月8日、浜松市で四つ子の赤ちゃんが誕生した。新しい時代にちなんで名付けられた4人は平成の時代を通じて元気に育ち、この1月に30歳を迎えた。
【特集】両陛下の「祈りの旅」をたどる
【特集】平成から「令和」へ
昭和天皇が逝去した89年1月7日、静岡県掛川市の岡山孝子さん(59)は聖隷浜松病院のベッドにいた。出産予定日は3カ月後だったが、陣痛が始まったため、緊急に帝王切開手術を受けるためだった。元号が変わって間もなく、4人の赤ちゃんが産声を上げた。
午前9時ごろに麻酔から目覚めると、まだ体はだるかった。初めて保育器の中の我が子たちと対面した時の感想は、「小さい……」。一番小さな長女は550グラム、一番大きな次女でも980グラム。生まれてきてくれたことが何よりうれしかったが、不安も大きかった。「これから大丈夫かな……」
不妊治療の末の出産だった。孝…