女性を中心に絶大な人気を誇る米歌手アリアナ・グランデさん(25)が、米国内の公演で来場者に有権者登録を呼びかけている。米国では選挙権を得る18歳になっても登録しないと投票できない州が大半だ。民主政治を支える制度に若い世代の目を向けさせようと歌姫が一役買っている。
3月26日夕、ペンシルベニア州フィラデルフィアの施設「ウェルズ・ファーゴ・センター」のドアが開かれると、大勢の人がなだれ込んできた。この日開かれるのはグランデさんのコンサート。10代や20代の若い女性がほとんどだ。
「有権者登録は済ませた?」
入り口脇に設けられたブースでボランティアが声をかけると、足を止める人が相次いだ。その場で登録申請書に記入する人も多い。1億5千万人と女性で世界最多のフォロワーを持つグランデさんがインスタグラムで活動を紹介したこともあり、反応は上々だ。
呼びかけていたのは、コンサート会場や音楽フェアで来場者の有権者登録を手助けする団体「ヘッドカウント」だ。即興演奏を重視するジャムバンド「ディスコ・ビスケッツ」のベース奏者マーク・ブラウンスタインさんや音楽関係者が2004年、「自分たちの影響力を使って何か社会に役立つことをできないか」と考え、設立した。
広報担当のアーロン・ギテルマンさん(27)は「多くの人が集まる場を活用して最も簡単にできることが有権者登録だった。若い世代は投票率が低く、政治家は注意を払ってこなかった。投票を通じて社会を変えることができる、と訴えている」と話す。
多くの州では郵送での登録が認められるため、会場で申請書に記入してもらい、ヘッドカウントが代わりに郵送する。
当初は仲間のジャムバンドのコ…