沖縄県だけに生息する希少種で、ワシントン条約で取引が規制されている「リュウキュウヤマガメ」を密輸したとして、香港の裁判所は7日、希少動植物の保護について定めた条例違反の罪で、防水工事の技術者だった静岡県在住の平口直紀被告(43)に禁錮1年の実刑判決を言い渡した。
判決によると、平口被告は昨年10月、日本から香港空港に到着した際、手荷物の中にリュウキュウヤマガメ60匹を隠し持っていた。弁護側は「沖縄の友人に頼まれて運んだだけ」としたが、判決は「持ち込まれたカメの数は多く、商業目的で悪質」と判断した。
香港は世界各地から中国に密輸されるカメの中継地となっているとされる。リュウキュウヤマガメは日本の天然記念物で、判決によると、1匹あたり約12万~約56万円の価値があるという。
密輸された動物の保護に携わる香港の関係者によると、2000年以前は主に東南アジアから食用としてカメが香港経由で中国に密輸されていたが、近年は中国の経済発展に伴い、観賞用のカメの密輸が増えているという。(香港=益満雄一郎)