神奈川県沿岸の東京湾や相模湾で、高級魚トラフグの漁獲が増えている。県や漁協などが2004年度から稚魚の放流を続けてきた効果とみられ、昨年には東京湾内での産卵も初めて確認された。「新たな特産品に」と、漁業関係者は期待している。 横浜・八景島シーパラダイスのすぐ近くにある、横浜市金沢区の柴漁港。午後3時ごろになると、東京湾で操業していた底引き網漁船が次々に戻ってくる。 魚を仕分けしていた漁協職員の出口実さん(47)が「こんなに大きいのはめったにいないよ!」と言って、大きなトラフグを水槽から抱え上げた。 フグが怒ったようにふくれあがる。約6・6キロの特大サイズだ。漁師でもある横浜市漁協柴支所長の小山雄輔さん(49)は「トラフグが網にかかると、1匹でも『やった!』って思うんだ。大きければいい値がつく。こんなに大きいのは自分は取ったことがない」とうらやんだ。 小山さんによると、柴漁港でトラフグが目立ち始めたのは10年ほど前。「東京湾にもトラフグがいるのか」と驚いたが、ここ数年で日常的にとれるようになってきた。 県水産技術センターによると、トラフグはかつて、他の魚に混ざって少量とれることがある程度だった。 だが03年度にまとまった漁獲があり、高値で取引された。このため県内の漁協などが資源量を増やそうと、翌年度に稚魚の放流を始めた。 03年度の県内のトラフグの漁獲は約1・4トンだったが、17年度には4・4トンまで増えた。柴漁港のほか、横須賀市の佐島港や長井港など相模湾側でも多くとれているという。 13年度ごろまでは、漁獲のほぼ全量が放流した稚魚が育ったものだった。だが次第に自然繁殖した個体が増え、最近では漁獲の8割は天然ものという。 放流したトラフグが自然繁殖している可能性を示すデータだ。このため同センターは海底の探査を開始。横須賀・久里浜沖でトラフグが産卵しているとの調査結果を、3月にまとめた。東京湾でトラフグの産卵が確認されるのは初めてだ。 同センターの中村良成・栽培推進部長は「放流したトラフグが自然に繁殖し、資源量が増えているとみられる。さらに資源を増やして、新たな特産品に育てたい」と意気込む。(太田泉生) |
トラフグを東京湾特産に 放流重ね8割が天然もの
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
没有相关新闻










