(シンギュラリティーにっぽん)第1部 未来からの挑戦<2>
AIは天使か悪魔か 「間違えぬはず」妄信が招く分断
独自の言葉で会話始めたAI 「新たな生命」すぐそこに
人工知能(AI)が、臓器移植前の患者の余命をも予測する。医師だけで判断するこれまでの常識は変わりつつある。最後に決めるのは医師か、それともAIなのか。境界はあいまいになるかもしれない。(大津智義、ロサンゼルス=牛尾梓)
10年後の生存率、AIが予測
50歳男性。身長178センチ、体重80キロ。心臓病を患い、補助循環装置をつけている。心臓移植を受けなければ3年後の生存率は「15%」。受ければ「69%」――。
サンプルデータからAIがはじき出した予測がパソコンの画面に表示された。
心臓移植の臓器提供者が現れたとき、患者や提供者の情報からその患者が本当に最適かを移植施設が判断するためのシステムだ。米カリフォルニア大ロサンゼルス校が開発した。「説明可能なAI」という。3カ月~10年後の生存率をAIが予測し、提供された臓器を最も効果的に生かせる組み合わせを示す。
同校付属病院は、過去30年間の臓器移植手術の件数が全米で2番目の規模だ。病院の駐車場には州外ナンバーの車がずらりと並び、年間38万人以上のさまざまな患者が全米、世界中から集まる。昨年、AIを使ったシステムの運用を実験的に始めた。
AIは、「全米臓器分配ネット…