民家の軒先に世界文化遺産のミニチュアがずらり――。前橋市の住宅街に、思わず目をひく家がある。家を囲むように17点が並び、いずれも高さや幅が1メートル前後。手作り感満載で、ご近所さんにファンもいる。どんな思いで次々と作ったのか。家主を訪ねてみた。
群馬県庁に近い前橋市千代田町1丁目の住宅街。原進さん(75)は夕方、街頭での警備員の仕事を終えて帰宅すると、まず軒先に向かう。ボタンを押すと、手作りした清水寺や白川郷が光を帯び、水が流れて水車が回り出した。
「一つ一つが生きている感じがして、癒やされるんだよな」
原さんが展示し始めたのは2004年。当時60歳。この家で暮らしていた妻の両親が亡くなり、同県玉村町から引っ越して第二の人生を歩もうとした時だった。
決して平坦(へいたん)な道の…