ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大特別教授が持つ、がんの免疫治療薬に関わる特許について、米ボストンの連邦地方裁判所は、米などの2人の研究者も発明者に加えるよう求める判決を出した。判決が確定すれば、小野薬品や本庶さんに入る特許収入が減る可能性がある。
判決は17日付。発明者と認められたのは、ダナファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン氏ら。免疫治療薬オプジーボの開発につながる本庶さんの6件の特許に2015年に同研究所が2人を発明者として加えるよう訴えていた。本庶さん側は、2人の貢献は発明者に加えるほど際立ったものではないと主張していた。
判決は、3人が創薬につながる、免疫のブレーキ役をする「PD―1」「PD―L1」という分子の働きについて、1999年から2000年にかけて頻繁に会議して共同で論文を発表したり、実験データの共有をしたりしていたと指摘。「本庶氏の特許の発明の概念は、3人の科学者の協力の結果である」と結論づけた。
フリーマンさんは「我々の重要な貢献を裁判所に認めてもらえてうれしい」とコメントした。本庶さんの代理人は「判決内容を精査し、対応について今後検討していく」としている。(香取啓介=ワシントン、嘉幡久敬)