河野太郎外相は22日、訪問先のパリでライトハイザー米通商代表と会談した。両氏は世界貿易機関(WTO)による紛争解決制度に対する不満を表明し、改革に向けて日米両国で連携していくことで一致した。
日本側の発表によると、東京電力福島第一原発事故の被災地などからの韓国の輸入禁止措置をWTO上級委員会が事実上容認したことについて、河野氏は「韓国の輸入規制措置が協定違反かどうかの判断をしておらず、紛争解決の役割を果たしていない」と批判した。
米国は中国との貿易摩擦をめぐりWTOに不満を募らせており、ライトハイザー氏は「米国も数々のケースを通じて上級委の問題を痛感してきた」と同調。「このような形で日本が上級委の問題の犠牲になる事態は目にしたくなかった」と応じた。日本側の同席者によると、ライトハイザー氏が上級委のメンバーを名指しで批判する場面もあったという。
河野氏は経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会に出席するため、パリを訪問している。22日午前にはWTOのアゼベド事務局長と会談し、WTO改革を求めた。(パリ=鬼原民幸)