誰もが無料でカレーを食べられる食堂がある。その秘密は「みらいチケット」という独自のシステム。誰かの役に立ちたいという、ささやかな善意が無料の一杯を支えている。
5月の平日の昼間、奈良県橿原市四条町の「げんきカレー」はサラリーマンや作業服姿の男性らでいっぱいだった。名物は国産鶏を使ったげんきカレー。価格は200円。カツカレーは450円と格安だ。
店の壁に映画のチケットのような紙が30枚ほど貼られている。これがみらいチケットだ。チケットを使えば、誰でも無料でげんきカレーを食べることができる。
チケットはお客さんの善意で生まれる。会計の際、200円多めに払うと、チケットが渡され、自分で壁に貼る。
「匿名の善意が、誰かの未来につながればと思って始めました」。店主の斉藤樹(しげる)さん(48)はそう話す。地元の出身で、県内で英語の学習塾を経営している。
5年ほど前、ボランティアで無…