谷川俊太郎さんの詩を詩人やミュージシャン、演劇人ら様々なジャンルの人たちが自分の解釈で表現するイベント「俊読」が26日、札幌市中央区のバーであった。東京などでこれまで10回開かれているが、北海道内では初めて。谷川さん本人が見守る中で全11組が出演し、約110人の来場者が言葉の世界に浸った。
「かっぱかっぱらった、かっぱらっぱかっぱらった、とってちってた――」
最初にステージに登場したのは、白老町の小学4年生ハルさん(9)。谷川さんの詩「かっぱ」をリズム良く読み切ると、「(この詩を)横に読んでみたらワルツに聞こえてきた」と話し、「かっかっか、とっかっか てっぱっぱ、てっぱっぱ――」とメロディーをつけて歌いだした。
さらに同じメロディーをバイオリンでなぞるように演奏していく。同じ詩を全く異なる角度から読み、得意のバイオリンと合わせて一つの楽曲に仕上げた。
「落語者」として活動している仔羊亭(こようてい)たいようさんは、「朝のリレー」と落語「千早ふる」を組み合わせた。前半に詩を朗読し、後半は詩を受けての自作の落語を披露。隠居に八五郎が詩の意味を聞きにきたところ、わからない隠居が即興で間違ったことを教える、という内容で、会場を笑いに包んだ。
他にも民族楽器演奏やダンス、歌と詩が混じり合うステージが約3時間にわたって繰り広げられた。
終盤に谷川さん本人と、詩人で作詞家の覚(かく)和歌子さんが登場し、2人の共著である詩集「対詩 2馬力」から二つの詩を朗読した。谷川さんは、過去の「俊読」と比べて「出演者の音の構成や、音と言葉の組み合わせ方が洗練されてきた」と喜んだ。イベントの初めには「もう年だから今年で『俊読』は終わりかな」と話していたが、最後は「今度は東京でやって、みんな(札幌から)バスで来ればいい」と冗談を交えながら意欲を見せた。
詩は多義的なもので、必ずしも…