「ここはアジフライの聖地です」と、長崎県松浦市が宣言した。3年連続でアジの水揚げ量日本一ながら、知名度はいま一つ。観光振興にもつなげようと、8項目からなる「アジフライ憲章」を制定。第3金曜日を「アジフライデー」と定めて学校給食で提供するなど、官民一体で聖地プロジェクトに挑んでいる。
「私たちは揚げたて熱々を提供します」
「私たちはノンフローズンまたはワンフローズンで提供します」
4月末の週末。海を望む広場であった「聖地」お披露目の集い。プロジェクトに携わる関係者が「アジフライ憲章」を唱和した。ワンフローズンとは、刺し身にできるほど鮮度のいいアジをその日のうちに粉つけして凍らせること。凍らせないノンフローズンとほぼ変わらない味になる。
憲章は、地元で水揚げされたアジを、味と鮮度そのままに絶品フライに仕上げるためのルールだ。市内29店舗がこの憲章に沿ってアジフライを提供している。
4~8月に五島・対馬海域でとれ、松浦で水揚げされる100グラム以上のマアジは「旬(とき)あじ」と呼ばれる人気のブランド。ただ、松浦近海で年を通じてとれるノーブランドのアジも、鮮度では負けていない。2015~17年、松浦はこれらのアジの水揚げ量が3年連続で日本一を記録した。
そんな地元の知名度アップや観光振興をめざし、「アジフライの聖地」宣言を公約に掲げて昨年2月に当選した友田吉泰市長が、取り組みを始めた。
なぜアジフライなのか――。「…