シンギュラリティーにっぽん
政策づくりに人工知能(AI)を使おう、という自治体が現れた。政治の世界でも、AIを駆使して民意をすくい取れないかと模索が始まる。技術の力を使い、公正でしがらみのない社会をつくり出そうとする試みは、有効なのか。(大津智義、渡辺淳基)
人間の思考の枠組みから解放されたい
いまも長寿を誇っている長野県だが、全国と同じく少子化に歯止めがかからず、人口減に直面する。2040年までを見すえ、地域の課題をAIで解決しようとする試みが始まったのは、約1年前だった。
昨年3月につくった県の総合5カ年計画から「人口」「魅力ある子育て環境」「豊かな自然」など283個のキーワードを抜き出し、それらがどう結びつくかの因果関係モデルを県職員がつくった。キーワード間の結びつきの強さや時間のずれを数値化し、一定の幅の「ばらつき」ももたせて誤差の可能性を加味した。
AIはモデルを使って計算し、2万通りの未来シナリオをはじき出す。最終的には人の目で価値判断を加え、六つに集約した。
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