ののちゃんのDO科学
「お月様はなぜ昼間も見える?」高知県・辻恵子さん(55)からの質問
◆形と方角、時刻の関係は…
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ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。science@asahi.com
ののちゃん 星はふつう、昼間は見えないよね。でも、お月様は見えることがあるよ。どうして?
藤原先生 天文学の世界では星の明るさを「等級」で表します。数字が大きいほど暗く、小さいほど明るい。夜、人の目で見える一番暗い星は6等級、明るい星でマイナス1等級以上だけど、満月はマイナス13等級と段違いに明るいの。マイナス27等級の太陽は明るすぎて、ほかの星を消しちゃうけど、月はまだ見えるのね。
のの なんで、ほかの星と比べてそんなに明るいのかな。
先生 ほかの星よりも、とても地球に近いからよ。地球から月までは38万キロ。飛行機の速さで16日くらいかかる距離だけど、地球から一番近い星は何と40兆キロほどもある。近い分、明るく大きく見えるわけね。
のの 月もなかなか、がんばって光っているね。
先生 いいえ、それは違う。気をつけて。夜見える星のほとんどは太陽のように自分で光を出している。「恒星」と呼ばれています。一方、月は自分では光を出していない。太陽の光が反射しているの。私たちに見えているのは、太陽が当たっている部分ということになるね。
のの でも、昼間に月が見えないときもあるよね。
先生 月は、地球の周りをぐるぐる回っている。このことを「公転」と呼ぶわ。だいたい1カ月かけて地球を1周するので、地球から見える位置が変わるのね。それで太陽に照らされる部分も変わるから、見え方も変化するのよ。
のの どんなときに、どんな形で見えるのかな。
先生 地球から見て、太陽と正反対の方向に月があるときが満月。真夜中に南の空に見える。月の西側半分が光る「上弦の月」は日の入りの夕方ごろ南の空に見えるし、反対に東側半分が光る「下弦の月」は日の出の朝、南の空に見えるわ。三日月は夕方に西の空で見やすくなるけど、よく探すと昼間も太陽より東側に見えるよ。
のの そういえば、昇ってきたばかりの満月は、すごく大きく見えることがあるよ。
先生 でも、月の大きさは変わっていないの。人の目が勘違いして、そう見えちゃうとされている。近くにあるビルや山と比べるから、大きく感じると言う人もいる。ただ、本当のところ、はっきりした理由は分かっていない。ちなみに、昇ったばかりや沈みかけの月は、赤っぽく見えることもあるね。これは、地球を取り巻く空気の関係で、赤い光が目に届きやすいからなの。
のの 早く秋になって、お月見がしたいな。
先生 本当の狙いは、お団子でしょ!
(取材協力=国立天文台普及室長の縣秀彦准教授)(桑原紀彦)