公開中のアニメ映画「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」の次回予告に名古屋市中心部の施設「名古屋テレビ塔」と「オアシス21」が映っているのでは、と話題になっている。来春の公開まで答えがわからず、地元ファンは謎解きを楽しんでいる。
名古屋駅、変わりゆく街
名古屋市内の映画館で5月30日、キャラクターに声援を送ることができる「応援上映」があった。本編終了後、来春公開の予告映像が流れると歓声が上がった。暗闇の中から浮かび上がるタワーと長円形の建物。十数秒の映像に出てきたのは公開時期と建物の外観だけだ。
「あれは確実にテレビ塔とオアシス21。見慣れた風景なのでわかります」。すでに2回目の鑑賞という名古屋市の大学生鈴木梨理子さん(23)は断言した。
映画版の見どころの一つは迫力あるアクションシーン。鈴木さんは一緒に見た友人と、爆破と狙撃シーンの場所を予想し合っている。「自分の街で聖地巡礼ができる。映画と同じ角度で写真を撮りたい」と公開が待ち遠しい様子だった。
コナンの映画は1997年から毎年公開されている。近年は人気の高さが際立っており、昨年公開された「ゼロの執行人」は観客動員数687万人、興行収入91億8千万円と、6作連続で過去最高を更新。今作は昨年を上回るペースで推移しているという。
人気作の舞台になることに地元の企業も期待を寄せる。名古屋テレビ塔事業部の石坂喜和さん(36)は20年来のコナンファン。毎年欠かさず見ており、予告映像の塔を見て驚いた。
SNSでは東京タワー説も出ているが、「テレビ塔は低層階があり足が短い。東京タワーは足が長い。すぐにテレビ塔だとわかった」と石坂さんは指摘。「テレビ塔の高さは180メートルなんだよ、とコナン君に解説できたらいいな」と期待を膨らませる。
テレビ塔はゴジラに「破壊」された過去がある。劇中の出来事とはいえ壊されることに抵抗があるのかと思いきや、「『爆破』される準備はできています」。
はたして名古屋の街が舞台なのか。映画を配給する東宝の担当者は「公開を楽しみにしていただければ」と話している。(山下奈緒子)