国立西洋美術館(東京・上野)が4月下旬、寄贈を受けた後に盗難品と判明した15世紀の古文書を元の所蔵先があるイタリア側に無償で返還していたことがわかった。
同館によると、古文書はトリノ司教の聖務日課書の1枚。祈りの儀式の際の賛歌などが収められている。トリノ大司教区古文書館が所蔵していたが、1990年、資料の整理ボランティアを装った犯人に切り取られ、売却されたという。今回の1枚は、ロンドンのオークションを経て、日本の所有者に渡ったもの。2015年度に寄贈を受けた同館が研究者に調査を依頼した結果、盗難品と判明した。同館は「無事返還できてよかった。今後も作品の来歴調査を確実に行っていきたい」とコメントしている。(千葉恵理子)