安倍晋三首相がイランを訪問し、米国と緊張下にあるイランのロハニ大統領、最高指導者ハメネイ師と相次いで会談した。イラン核合意の当事国は静観姿勢だが、各国メディアでは訪問成果について懐疑的な見方も出ている。
核合意の維持を訴える欧州連合(EU)では首脳らから目立った発言は出ていない。EUにとっては、イラン核合意は多国間外交で、世界の安定につなげた近年の最大の成果の一つだ。その履行は国際ルール順守の象徴で、米国を筆頭に「自国第一主義」が世界で台頭する中、イラン核合意への思い入れは極めて強い。安倍首相の訪問が、EUと関係が悪化している米国の要請ということもあり、訪問の結果を見定めようとしているとみられる。
EUは、合意を順守するイランに経済的メリットをもたらすことができず、イランからの信用も失いつつある状況にある。英仏独は核合意の維持をめざして1月、イランを経済的に支援するための組織「貿易取引支援機関(INSTEX)」を立ち上げた。だが、米国の制裁を恐れる欧州企業は及び腰で、まだ機能していない。
こうした状況にイランは「原油取引などの経済的利益を保証する約束が守られていない」とEU側を批判。EU側からは「米国とともに、イランの弾道ミサイルの開発規制や、この地域の安定などを実現させるために、米国は交渉を始める必要がある」(マクロン仏大統領)と米国の動きを容認するような発言も出ている。
国際紛争に関するシンクタンクの「国際危機グループ」(本部ブリュッセル)のアリ・バエズ氏は「核合意を巡る米イラン間の緊張緩和に関して今、EUができることはない。イランの要求に応えられず、イランとの関係が悪化するリスクを高めているだけだ」と語った。
「狙いは参院選」
一方、各国メディアでは今回の訪問の成果への期待や懐疑的な見方が入り交じっている。
英BBCは、今回の安倍首相の…