旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された被害者への一時金支給をめぐり、札幌市の男性が19日、札幌テレビ放送(STV)の記者に申請を促され、その内容をニュース番組で放送されたとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審理を申し立てた。
申し立てたのは、強制不妊手術の被害を訴え国に損害賠償を求めている小島喜久夫さん(78)。弁護団によると、小島さんは4月下旬、記者に促され、弁護団に相談せずに一時金を申請したという。小島さんは既に申請を取り下げた。
弁護団は、小島さんが一時金に批判的な意見を持っていたことや、申請が棄却された場合に訴訟に悪影響が出る恐れがあったことを問題視している。STVに抗議文や質問状を送ったが、回答が不十分だと判断し、BPOへ申し立てた。
小島さんは先月末、報道陣に「(STVの取材に)言われるままについて行った。何が何だかわからなかった」と話していた。
STVは「小島さんに一時金申請を働きかけて、真意に反する申請をさせた事実はありません。BPOのルールのもと、真摯(しんし)に対応していく」とのコメントを出した。