研究室で生まれたニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)も、民間業者の養殖池で立派に育つ――。水産庁などは21日、そんな研究成果を発表した。シラスウナギの不漁が続く中、業界は「実用化が待ち遠しい」と期待を寄せる。
人工孵化ウナギ実用化「光見えた」 食卓にうな重戻るか
人工孵化(ふか)などの養殖技術を研究している国立研究開発法人「水産研究・教育機構」は、昨夏初めて研究施設から約300匹の人工シラスウナギを養殖業者に配布。鹿児島県の2業者が、川や海で採捕された天然のシラスウナギと同じように育てる試験をした。
その結果、うち1業者では成長中を含めて8割が出荷サイズ(200グラム)になる見通しで、養殖池でも大きな問題がないことが確認された。かば焼きにしても、普通のウナギと遜色なし。ただ、人工シラスウナギ1匹あたりの生産コストは少なく見積もっても5千円超といい、食卓に届くには時間がかかりそうだ。(荻原千明)