月額千円程度で数千万曲が聴き放題になるストリーミングを使った定額制(サブスクリプション)の音楽配信サービスが、CDが主流の日本の音楽市場で急速に存在感を高めている。今月には昨年引退した安室奈美恵の曲が解禁されるなど、大物が続々参入。一方、米国では、落ち込んでいた音楽市場復活の救世主になりつつあるようだ。
シンガー・ソングライターのあいみょんは昨年、ストリーミングにブレークを後押しされた。テレビの音楽番組に出演直後、再生回数が急増し、今も各サービスのランキング上位に。スポティファイジャパンのヘッドオブコンテンツ芦澤紀子さんは「(スマホで)検索してすぐ曲を聴けるのがストリーミングの強み。利用者とファンの年齢層も重なった」と分析する。
〈ストリーミング〉 インターネットに接続してデータを読み込みながら同時に再生する音楽や動画の配信サービス。有料の定額制(サブスクリプション)だと数千万曲が聴き放題になる。
あいみょんが所属するレコード会社ワーナーミュージック・ジャパンの邦楽デジタルマーケティンググループディレクター栗田慎太郎さんは「ストリーミングはランキングが重要。上位の曲は各サービスのプレイリストに入り、一度上位に入ると聴かれ続ける。新曲を出すと過去の曲を聴く呼び水になり、再生回数は人気の指標にもなる」。
若者を中心に利用者が増え、海外でも再生回数が伸びるにつれ、大物ミュージシャンも次々に参入。16日には安室奈美恵のシングルとアルバム全曲がアップルミュージックで解禁された。昨年は、松任谷由実、宇多田ヒカル、椎名林檎、ミスターチルドレンら、今年は平井堅、ゆず、小田和正らが解禁した。無料で聴ける曲もあるが、定額制だと大半が聴き放題になる。
ストリーミングで聴けない人気アーティストは記事後半で。テイラー・スウィフトが抗議するなど、ストリーミングへの不信感が強かった米国でも、大きな変化が起きているようです。
日本レコード協会によると、昨年のストリーミング配信の売り上げは349億円で前年の1・3倍に。着うた以降低迷するデジタル配信市場の起爆剤だ。
■CDまだ売れる→大物が解禁控…