来日中のフランスのマクロン大統領は、大阪市で28~29日に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で採択される首脳宣言について、温暖化対策の国際ルールを定めた「パリ協定」に言及されなければ賛成しない考えを示した。26日に開かれた安倍晋三首相との会談後の共同記者会見で明らかにした。
マクロン氏は会見で、G20での主要課題に環境問題を挙げパリ協定の重要性に言及。「私には越えられない一線がある。もし各国の首脳が環境問題について野心的に前進できないなら、集まる意味が何もないことになる」と述べた。仏大統領府は同日「もしG20の宣言にパリ協定が言及されていなければ、フランスは受け入れないということだ」と明らかにした。
米国のトランプ政権はパリ協定からの離脱を宣言。国際協調を重視するマクロン氏が、G20で自国第一主義に歯止めをかけるよう、強く牽制(けんせい)したものだ。
英紙フィナンシャル・タイムズは26日、G20の宣言案で「パリ協定が軽視されている」と報じた。宣言案では「気候変動や資源の枯渇、海洋や大気汚染、海洋プラスチックごみといった地球規模の課題に取り組む必要性を認識する」と触れられるのみで、地球温暖化や脱炭素化は盛り込まれていないと指摘し、日米貿易交渉を控え、北朝鮮の脅威にさらされる日本が「米国の圧力に屈した」としている。(疋田多揚)
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