参議院議員の山本太郎氏が立ち上げた政治団体「れいわ新選組」が4月の設立以来、2カ月余りで2億円超の寄付を集めたとしています。山本氏はどちらかというと好き嫌いが大きく分かれる政治家であり、「れいわ」の政策の実現性を疑問視する見方もありますが、「短期間でこれほどの個人献金が集まるのは異例」(政治資金に詳しい日本大の岩井奉信教授)といいます。彼らは個人としてどんな思いで「政治」にお金を託したのでしょうか。実際に寄付した人たちにSNSで連絡を取り、会ってみました。(牧内昇平)
通帳残高は数万円
きっかけは、インターネットでみた街頭演説だった。
《あなたの生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか。あなたが役に立たないからとか、あなたが勉強してこなかったからだとか。冗談じゃない!》
山本氏の言葉を聞くうち、名古屋市に住む50代男性は、涙があふれてきた。
4月末のことだった。電子部品工場で3時間ほどの残業を頼まれ、自宅に帰り着いたのは夜9時過ぎだった。数カ月前に念願の正社員になったのはいいが、このところ残業続きだ。家賃3万8千円の1Kアパートには、「おかえり」と声をかけてくれる家族はいない。朝8時15分の始業からほとんど休憩なしの仕事。疲れすぎて食事を作る気がしない。もやしときゅうりをつまみに缶酎ハイを1本あけた。
「明日も6時半に起きて出勤しないとな……」「一体なんのために生きているのだろうか……」
街頭演説の動画に出会ったのは、そんなときだった。
正直言って、これまでは山本氏のことが大嫌いだった。「脱原発」をくり返すだけのタレント政治家。単なる目立ちたがり。そんな風に思っていた。
でも……。
通帳の残高は5万円ほどしかなかったが、その中から1万円を寄付した。
時給1050円
20年近く、非正規の仕事を転々としてきた。
派遣会社から最初に紹介された…