国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2019年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国平均は前年を1・3%上回り、バブル崩壊後初の4年連続の上昇となった。雇用の改善や低金利を背景に、地方都市も含めて中心部や交通の便の良いエリアで地価が回復傾向にある。
都道府県別の上昇率トップは沖縄で8・3%。18年も5・0%で、現在の算定方法になった10年以降で全国最高の上昇率だったが、上げ幅はさらに広がった。観光客や人口の増加で那覇市の地価が高騰し、割安感の出た周辺の浦添市や宜野湾市などでも上昇傾向という。
沖縄に続き、東京は4・9%、宮城は4・4%、福岡は3・6%、京都は3・1%上昇した。石川と大分は下落から上昇に、兵庫は下落から横ばいに転じた。
26県が前年に続いて下落したが、うち22県で下落幅は縮小。上昇から下落に転じたのは滋賀だけだった。
都道府県庁がある都市の最高路線価は33地点で上昇した。13地点が横ばい。下落は鳥取市だけだった。東京・銀座の文具店「鳩居堂(きゅうきょどう)」前は1平方メートルあたり4560万円で、34年連続で全国最高額だが、ここ5年は9~26%で高止まりしていた上昇率は2・9%にとどまった。
都市未来総合研究所の平山重雄・常務研究理事は「都市の中心部で上昇ペースが緩やかになったが、周辺に波及している。海外情勢の大きな変化などがなければ、当面この傾向が続くだろう」と話す。(花野雄太)
主要道路に面した1平方メートルあたりの土地の評価額(1月1日時点)。国土交通省が出す公示地価(同)の8割を目安に、売買事例や不動産鑑定士の意見なども参考に国税庁が算出する。今年は32万9千地点が対象。