高級車など3千台以上を載せた自動車運搬船が6月中旬、フィリピン沖で火災を起こし、日本に来る予定だった積み荷が届かない状態になっている。ボルボの国内販売会社は6月末、納車遅れを顧客に通知。アウディも国内向けの新車453台が届いていないという。新車を待ち望んでいた客たちはやきもきしている。
国土交通省海事局によると、船はパナマ船籍の「ダイヤモンド・ハイウェー」。全長約200メートル、総トン数約6万トン。現地時間の6月15日ごろ火災が発生し、乗組員25人は全員救助された。積み荷の被害などは「情報収集中」というが、海運関係者によると、高級輸入車など約3300台を積んで、シンガポールからフィリピンに向けて航行中だったという。
この火災にショックを受けているのは、日本には6月末ごろ到着するはずだった積み荷の購入者たちだ。
ボルボの新車を約780万円で半年前に注文していた30代の会社員男性は、船の運航状況が分かるサイトで車が海を渡って近づいてくるのを楽しみに見ていたが、6月中旬に航跡が止まった。「販売店からは在庫を納車するか再注文になると言われた。旅行計画を練っていただけに残念。10月の消費増税や今の車の下取りの値落ちが心配」と嘆く。
東京都の60代の自営業の男性も、昨年末に約750万円のボルボを注文。ディーラーから「納車は半年遅れの12月末になりそうだ」と説明されたという。(笹山大志)