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米グーグルなどの巨大IT企業を念頭に「デジタル税」の導入を決めたフランスに対し、米トランプ政権が関税などの制裁も視野に入れた調査を始めた。巨額の利益を上げるIT企業への課税は国際的な課題で、今後、日本も参加して国際ルール作りが本格化するが、米欧の対立が激しくなれば難航しかねない。 米政権が乗り出したのは中国への巨額の制裁関税の根拠にもなっている「通商法301条」に基づく調査だ。不公正な貿易慣行をとっていると判断した国に対して進め、原則1年以内に、関税などの制裁措置をとるかどうか判断する。 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は10日、フランスの新税について「米企業を不当に標的にした」と批判した。 「いいね!」で得た巨額収益追う どうなるGAFA課税 グーグルやアマゾンなどGAFA(ガーファ)と呼ばれるIT大手は、大きな利益を上げる一方、法人税を課される前提となる支店などの「物理的な拠点」を置かない国も多い。このため、6月末に大阪市であった主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、来年までに国際的な課税ルールを作ることで合意した。今月17~18日にフランスである主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも主要議題となる。 フランスの動きはこれに先立つ独自の動きで、11日に上院でデジタル課税法案が可決され、成立した。世界とフランスで一定規模の売り上げがあるIT企業に対し、仏国内での広告やデータ売買で得た収入の3%を課税する。世界で年間7億5千万ユーロ(約910億円)、うち仏国内で2500万ユーロ(約30億円)以上の売り上げがある企業が対象で、GAFAの4社など30前後の企業が含まれる見通しで、今年1月にさかのぼって適用する。スペインや英国でも同様の課税を導入する予定だ。 ルメール仏経済・財務相は11日、上院で「フランスは主権国家であり、税制は自国で決める。同盟国の間では、脅し以外の方法でいさかいを解決しなければならない」と米国を牽制(けんせい)した。課税策を議論しているOECD(経済協力開発機構)で「国際的な解決策を見つけるための作業を加速」するよう求めた。 マクロン仏大統領はこれまで、米国を中心とする巨大IT企業が欧州のネット空間を席巻する現状が「欧州の主権」を脅かしかねないと主張。IT企業への課税だけでなく、欧州連合(EU)レベルでの個人情報保護の強化や、仏国内でのヘイト投稿規制法案などを通じて、ネット空間で欧州の主導権を取り戻そうと試みている。 課税を巡る国際ルールは、G20や経済協力開発機構(OECD)の枠組みで議論し、合意をめざす。フランスも、合意した後は自国の税を国際ルールに置き換える方針だ。 ただ、国際ルールをめぐっては米欧で対立が続く。欧州はSNSの書き込み数などを根拠にして利用者がいる国が課税する案を支持している。これに対し、米国は多国籍企業が事業を展開している各国でのブランド力や顧客データといった「無形資産」を利益の源と評価して、課税する案を提案している。米国に集中するIT企業以外にも、こうしたブランド力などを持つ企業へ適用範囲が広がるのが特徴だ。 今年のG20議長国の日本は、独自のデジタル課税導入は考えず、合意にこぎ着けることを優先させたい立場だ。米国案を軸にし、欧州の意向も反映させた折衷案を探るが、米仏の対立で両者の隔たりが深まれば、合意がより困難になる恐れもある。(青山直篤=ワシントン、疋田多揚=パリ、岩沢志気) |
GAFA標的の「デジタル税」 仏の導入に米猛反発
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