群馬県渋川市石原で耐震補強と改修工事中の渋川市民会館の完工が、当初計画の今年11月から来年2月15日に先延ばしされることになった。来夏に迫る東京五輪・パラリンピックなどの建設需要の高止まりによる資材不足が直撃した。こけら落としに予定していた森高千里さんのコンサートや成人式、群馬交響楽団のニューイヤーコンサートなどの催しで、会場変更などの影響が出ている。
調達が困難になっているのは、建設現場で鉄骨をつなぎとめる「高力(こうりき)ボルト」。不足が目立ってきたのは昨年春ごろからで、五輪需要や溶接工の不足のほか、資材確保のために実際の需要を超える注文が重なってメーカーの供給が追いつかないとの指摘もある。
市は、高力ボルトの不足は業者の責任とは言えず、その場合は工期の変更を促す国の要請があるとして、工期延長を認めた。市の負担は、関連費用も含めて計約4千万円。市議会6月定例会に工期延長に伴って発生する請負契約額の変更4議案(建築主体、電気設備、機械設備、音響設備の4工事)を提案した。
議会側は、資材不足は着工した昨秋時点でわかっていたことだと指摘。昨年12月に設計変更を理由に契約額を増額しており、工期の変更や契約額のさらなる増額は認められないと反発した。常任委員会では賛成少数で否決され、6月26日の本会議では4議案のうち3議案が賛否同数で、議長裁決でようやく可決された。
本会議後、委員会の角田嘉和議員(共産)が「委員会の審議後、全員協議会を開いて市側の説明を改めて聞くなど委員会の審議を軽視している」と、委員長の辞職願を提出した。(泉野尚彦)