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疲弊する児童相談所 「職員の使命感で支えられている」

「子どもを返せ」


北海道内の児童相談所。朝、職場に着くなり、虐待の疑いで一時保護した子どもの保護者から怒りの電話がかかる。断続的な抗議が8時間ほど続くこともある。


ほどなく、非行で一時保護していた子どもが逃げ出したとの連絡が入った。職員3人を捜査に派遣し、警察にも捜索願を出した。


定例の会議が始まった。虐待や非行、家庭内暴力など20件。施設になじめず戻ってくるケースもあり、子どもにとってどの施設が適しているか、里親がいいのかなどを1件1件話し合う。会議は長時間に及んだ。


その日は、虐待を受けて一時保護中の子どもの面接もあった。最後は子どもが泣き出してしまい、やりきれない気持ちになった。性的虐待を受けている場合もあり、面接は慎重に進めなければならない。


近隣住民から「泣き声が聞こえる」と通報。家庭訪問した職員が家族と本人に会えて無事が確認でき、ひと安心。それもつかの間、今度は一時保護中の男子が暴れて居室の扉を壊す事案が発生。夜になると、別の保護者から児相の対応に怒りの電話がかかってきた。酔っているらしく説明を全く聞いてくれない。帰宅したのは深夜だった。


これは、北海道内の児童相談所に30年近く勤めた小山和利・藤女子大教授(62)が6~7年前に経験した「ある一日」の様子だ。手帳の記録をもとに、再現した。関係者によると、ある児相では、多い日で200本の電話を受け、4人いる虐待専門の児童福祉司では対応しきれない日もある、という。


小山さんは「なかなか気が休まることがなかった。今でも夜遅く携帯電話が鳴ると落ち着かなくなります」と打ち明ける。


広い北海道では、一つの児相が…


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