1980年代を彩ったラブコメ漫画を映画化した「タッチ」が、全国公開中だ。ヒロイン浅倉南を演じたのは、進境著しい長沢まさみ。同世代の南を生き生きと演じている。
◇「ロボコン」「セカチュー」幸運役柄続々
「原作は時代をあまり感じない。青春や恋愛の、みんなの理想が形になったみたい。デートで遊園地に行ったりとか、スタンダードにしてみたいと思うことがつまっている」。とはいえ、生まれた87年は原作アニメ放送が終わった年。「撮影前に漫画を読みました。漫画もアニメも完結した作品だから、イメージに捕らわれることはなかったです。自分なりの南ちゃんをと思いました」
デビューして5年。ここに来て「ロボコン」「世界の中心で、愛をさけぶ」と続いた2本で強く印象づけたが、犬童一心監督は「これまでにない、アイドルの華のある長沢まさみを映したい」と撮影に臨んだ。
撮影中は意識しなかったが、完成した映画を見て「私のアップが多くて、何で私ばっかりと思いました。でも、すごくきれいに撮ってくれて、今までと違う。監督の話を聞いて、そういうことか、と気づきました。うれしかった」と素直に喜んだ。
役柄も広がり快調だが、実は不完全燃焼気味。「何もかも早すぎる。もっとじっくり行きたいのに。誰でもなれるものでもないし、幸せだろうけど……」「演技は、はじめは面白いと思ってましたが、今は難しい。悩みどころです。下手だし納得いかないし、打つ手なし」
だが、もうすぐ高校卒業。演技に専念できる。「自分の時間を持ちたい。映画にちゃんと出られる人になりたい。場数踏んで、経験積んで。大人になったら、幅が広がると思う」【勝田友巳】
毎日新聞 2005年9月12日 21時22分