9月でデビュー30年を迎えたシンガー・ソングライター中島みゆき(53)が、ライフワークの音楽劇「夜会」の会場を初めて移すことになった。過去13回は東京・渋谷のシアターコクーンだけで開催してきたが、来年は東京・青山劇場へ。さらに、初の大阪公演も行う。2都市で計36回の公演数も過去最多。これをきっかけに全国規模に広げていく可能性もある。
「夜会」は中島が主演、構成、演出、脚本、音楽のすべてを手掛ける音楽劇。89年に東京・渋谷のBunkamuraのシアターコクーン(747席)でスタート。劇と音楽、ステージと客席が一体となったコンサートは、言葉の可能性を追求した“実験劇”といわれ、年末恒例のライフワークに。通算13回目を迎えた昨年の「24時着0時発」で初めて正月公演に挑み、新たな展開をみせた。
2年ぶりの開催となる「06年夜会」から“ホームグラウンド”を離れ、東京以外に初上陸。東京も初演から16年で、収容人数が多い青山劇場(1200席)へ移すことにした。
大人にゆっくりコンサートを楽しんでほしいとの趣旨で始めた公演。午後8時の開演や観客との近い距離感など制約は多く、会場選びには時間がかかった。「より多くの人に見てもらえるように」との思いから“引っ越し”に踏み切る。
演目は昨年の再演でタイトルは「24時着00時発」。東京は1月27日から2月24日まで22公演。東京以外では初上陸となる大阪は劇団四季が建てた劇場「シアターBRAVA」を使用し、4月27日から5月14日で全14公演。春開催は初めてで、雪舞う夜会とはまた違った趣がありそうだ。
大阪はファンだけでなく、中島にとっても念願。78~83年にMBSラジオ「ミュージックマガジン」でパーソナリティーを務めるなど思い入れは深く、初演時から会場を探してきたという。その思いを表すかのように、今回は初演時のキャッチコピー「もっとみゆきと深い仲」を再び使用。原点回帰の夜会になる。今後ほかの都市へと広がっていく可能性はあり、文字通り全国のファンに夜会が近づく。