広島県と並ぶ養殖カキ産地の宮城県で、カキに含まれる脂肪酸の含有量に着目した産地識別システムの開発が始まった。種ガキのDNAが同じでも、生育海域の違いで産地の識別が可能になるという。同県では、価格の安い韓国産を「宮城産」として出荷する偽装問題が02年に発覚。関係者は「実用化できれば、偽装を完全に見破ることができる」と期待している。
県水産研究開発センターによると、宮城産と韓国産のカキに含まれる成分の比較試験を重ねた結果、宮城産が特定の脂肪酸の割合が高いことが分かった。餌となる植物プランクトンが海域により違うためとみられる。
今年度中に韓国や広島で育ったカキを取り寄せ、宮城産と脂肪酸の割合を比較。肥育試験も実施し、プランクトンの違いと脂肪酸含有量の関連を解明する。
県漁連浅海課の渋善之課長は「システムが開発されれば、偽装への警告になる」と話している。【赤間清広】