東京農工大の松永是教授(生命工学)らの研究グループが6日、一つ一つの細胞ごとに、その細胞が含む遺伝子DNAの塩基配列(暗号文字)を効率よく解読する新技術を開発したと発表した。
がん細胞は、細胞内の遺伝子に変異が起きることで増殖が始まる。松永教授は「今回の技術を生かせば、正常な細胞に混ざったごく初期のがん細胞を特定することが可能になる」と話しており、がんの早期発見や治療に役立つという。
DNAの塩基配列は、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の4種類の塩基の組み合わせでできている。
研究チームは、塩基と結合すると発光する酵素を付着させた直径数十ナノメートル(ナノは10億分の1)の磁気を帯びた粒子を開発。この粒子は、反応する塩基の種類によって発光する光の強度が違うため、光の強度を測定するとDNAの塩基配列を解読できる。
DNAの断片に蛍光色素を付け、その長さの違いから塩基配列を読み取るなどの従来法に比べ精度が高い。従来法は1回の測定に10万個程度の細胞が必要だったが、細胞1個でも解析できる。【山本建】