健闘及ばず、武田幸三(32=治政館)が散った。K-1ワールドMAX世界王者対抗戦は12日、東京・国立代々木競技場で行われ、世界王者アンディ・サワー(22=オランダ)との一戦は2R31秒、左フックでKO負け。この試合に勝って、大みそか「Dynamite!!」(大阪ドーム)での魔裟斗(26=シルバーウルフ)戦を狙っていたが白紙となった。谷川貞治イベント・プロデューサー(44)は私見として総合格闘技挑戦を勧めた。
壮絶な散り方だった。2R開始早々から連打を浴びた武田は、懸命なガードでこらえていたが、左フックを合わせようとしたところで、逆にカウンターの左フックをあごに受けた。倒れ込んだまま動けない失神KO負け。試合後のインタビューでは「何も覚えていない」と記憶が飛んでいた。
魔裟斗、小比類巻といったワールドMAXの看板が負傷で欠場し、メーンに抜てきされた。得意の連打で世界王者となったサワーに対抗するため、今回は週2回のボクシングジム通いを続け「それまで意識になかった」というディフェンスの強化に着手した。1Rはしっかりと左のガードを上げて、相手のパンチを封印。37発のローキックを左足に集中させ、一瞬ぐらつかせた。だが、実際に連打を受けると体がパンチで対応しようと反応。無惨な結果を呼んだ。
世界王者との対戦は武田にとって大チャンスだった。「勝って大みそかに出たい」。魔裟斗が熱望していたサワーを倒せば魔裟斗との夢カード実現の可能性があったが、それはなくなった。武田自身も「僕に出たいという権利はない」とトーンダウンした。
谷川イベント・プロデューサーも「結果は結果だから」とDynamite!!へのK-1ルールでの出場が微妙になったことを示唆。その上で「個人的には総合格闘技をやってほしい」と一戦限りの転向を勧めた。これに対し武田陣営がどういう答を出すのか、興味深い展開となってきた。
≪サワーでも「微妙」≫武田の野望を粉砕し現役世界王者の貫録を示したサワーは「パンチ主体の戦法に切り替えたのが良かった」と振り返った。減量に苦しんだこともあり1Rは動きも鈍かったが、2Rに入ると本来の動きを取り戻し、左フックでKO勝ち。試合後に「Dynamite!!」で魔裟斗との対戦を熱望したが、谷川プロデューサーは否定的な発言に終始。「魔裟斗選手の体調次第だが、正直、微妙です」と現状は白紙であることを明言した。