債務者から過払い金返還を求められた消費者金融大手「三洋信販」(福岡市博多区)が、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)で17日に開かれた弁論で、原告の請求を受け入れる「認諾」をした。同社勝訴の2審判決が見直され、同社に不利な判断が示される見通しだったが、判決は言い渡されずに訴訟は終結した。上告審で認諾するのは異例。原告側弁護団によると同社は500件以上の同種訴訟を起こされているといい、弁護団は「他の訴訟への影響を恐れて自社に不利な最高裁判決を回避するもので権利の乱用。別訴訟でも過払い金返還に応じるべきだ」と批判した。
◇不利を予測、判決回避か
問題となったのは、一定金額内で何度も借り入れと返済ができる「リボルビング払い」契約による貸し付け。1、2審で同社側は、一定要件が備われば利息制限法の上限を超える利息を受領できる「みなし弁済」が適用され、過払いではないと主張。1審は同社に約31万円の返還を命じたが、2審はみなし弁済適用を認め同社勝訴とした。
第1小法廷は7月に弁論期日を指定し、2審判決が見直される公算となったが、同社側はその後も、別の訴訟でみなし弁済の適用を主張し続けているという。「認諾」により原告の請求通りの金額が返還されるが、「みなし弁済」の適否の判断は示されない。
三洋信販は「認諾することが当社と相手方の双方に得策で妥当と判断した。他の事案では個別に検討して適切な対応をする」とのコメントを発表した。【木戸哲】