病気のかかりやすさなど体質の違いを生む遺伝情報の個人差が、DNA上のどこにあるかを示した「地図」を日米など5カ国の国際研究チームが完成させた。遺伝情報の違いに応じて治療法を変える「オーダーメード医療」の実現や病気に関連する遺伝子の発見に役立つ成果で、27日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。
ヒトのゲノム(全遺伝情報)は、DNAの塩基配列が約30億個連なってできている。このうち、個人によって塩基の種類が1カ所だけ異なる部分をスニップ(SNP)と呼ぶ。SNPは全体で約1000万カ所あり、これが個人の体質差を生むとされる。
研究チームは欧州系の米国人、アフリカ系のナイジェリア人、アジア系の中国人・日本人の3人種計269人について、各約110万カ所のSNPを解析、ゲノムのどこにあるかを示した。
SNPにはいくつかが一塊(ハプロタイプ)になって遺伝する性質があり、アジア系の場合、25万カ所のSNPを調べるだけでSNP全体が98・5%の精度で予測できることも分かった。
日本の研究チーム代表の中村祐輔・東京大医科学研究所教授は「今回の地図を利用すれば、SNPすべてを調べる必要がなく、迅速なオーダーメード医療の実現につながる」と話している。【永山悦子】