プロゴルファーの尾崎将司(58)が東京地裁に民事再生手続きを申し立て、個人として経済的に破たんしていたことが1日、分かった。地裁によると、申し立ては10月12日付で、民事再生手続きの開始決定は同月18日付で出されている。破たんの詳しい理由は明らかにされていないが、ジャンボは経営にかかわった会社のゴルフ場開発の失敗や親族の不動産投資の失敗などで最近まで数億円の負債を抱えていたもようだ。
ジャンボは89年頃からゴルフ学校の建設を計画し、ベースとなるゴルフ場開発に乗り出した。総工費90億円で94年オープンの予定だったが、用地買収が遅れた上にバブル崩壊が重なり巨額の負債を背負うことになった。
ただ本業のゴルフでは94年から5年連続で賞金王に輝くなど大活躍。クラブ契約先のブリヂストンスポーツが発売したドライバー「J’s(ジェイズ)」メタルや同ブランドのグッズも爆発的な売れ行きを見せた。賞金だけで約2億円、ロイヤルティー収入などを含めれば最高で10億円を超える所得があったと言われた。それでも借金の完済には至らず、さらに親族の不動産投資の失敗もあり一時は数十億円の借金を抱えたといわれた。
98年には長年契約を続けてきたブリヂストンスポーツと契約を解消し新興メーカーのワールドワン社と契約。同社のバックアップで千葉・船橋市にあった自宅裏に打撃場と研修生の寮を完備した練習施設をつくった。しかし同社の社長が賭博開帳図利容疑で逮捕され契約を破棄。新たに後援者らとクラブ製造会社をおこしたもののこれもうまくいかず、担保で押さえられていた自宅を追われ、自宅裏の施設で研修生らと賃貸料を払って生活していた。
しかし昨年の獲得賞金が1983万円とピーク時の10分の1に激減。今季もこれまで799万円しか稼いでおらず、賃貸料を安くするため今年から千葉市内に転居し、おしどり夫婦といわれた義子夫人とも別居していた。
民事再生となっても借家関係や勤務関係にも影響はない。裁判所に提出した弁済計画に沿って3年以内で返せば、軽減を求めた残額を免除されるが、ゴルフ界の頂点を極めた男の今後は厳しいものとなった。
≪除名処分はなし≫男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)にはツアーの名誉・信用・品位を著しく失墜させた行為をはたらいたメンバーに、除名処分が下される条項がある。ただ渡辺一美専務理事は、「該当するのは犯罪行為など。今回はそれにあたらない」と説明。一方、日本プロゴルフ協会(PGA)では過去に個人破産した会員は退会しているという。しかしPGAとJGTOは別組織。仮に退会となっても永久シードを持っているジャンボがツアー参加を妨げられる恐れはほとんどなさそうだ。