JR山手線内回りの東京-有楽町間で7日午前、架線を水平に保つためのおもりをつり下げている鋼製の棒(直径20ミリ、長さ130センチ)が切れ、架線がたるんだ事故で、JR東日本は7日、管内全線で8日未明から、同様におもりをつり下げている支柱1万2000本について、緊急総点検することを決めた。さらに鋼製の棒が破断した場合、おもりが高架下に落下する恐れのある首都圏28カ所については、すべて新品と取り換えることを決め、設置から20年以上経過した鋼製の棒や鋳鉄製のおもりを順次交換する方針。
また、切断原因について同社は「切断部分はおもりをくし刺しにした最上部。黒ずんだ跡があり、鋳鉄製のおもりのすき間に雨水などがたまって棒の腐食が進み、劣化を早めた可能性が高い」との見方を強めている。
同社によると、切断した棒の耐用年数は平均30年だが、切断面からは両端から強い力が加わって“ちぎれた”ような形跡がうかがえたという。これまでに、JR発足後の89年に新品と交換され、わずか16年しか経過していないことや、今年1月18日の目視による定期点検でも異常は見つからなかったことが分かっている。
「腐食説」については、先月23日に仙石線本塩釜-東塩釜間でも同様の架線のたるみが発生。JR東日本仙台支社で調べたところ、おもりをつり下げている鋼製の棒が風雨による腐食で切れていたことが分かったという。【斎藤正利】