東京都町田市の都立高1年、古山優亜(こやまゆうあ)さん(15)殺害事件で、殺人容疑で逮捕された同学年の少年(16)が、動機について「優亜さんにばかにされた」と新たな供述を始めたことが分かった。殺害の際、約30分にわたって包丁で切りつけていたことも判明。鈍器で殴ったような打撲痕もあり、追い回しながら執ように攻撃していたとみられる。好意を抱いていた少年が、優亜さんの態度に一方的な恨みを募らせていた可能性が出てきた。警視庁町田署捜査本部は、動機についてさらに詳しく捜査している。
調べでは、少年が優亜さんを襲ったのは10日午後5時半過ぎから約30分間とみられている。近くの住民が「ドスン、ドスン」という物音や悲鳴などを聞いていた。
6畳居間と4畳の寝室の間にあるふすまなどに、包丁を振り回して切りつけた際に出来たとみられる跡痕が残っており、逃げ回る優亜さんを執ように追いかけた様子があるという。傷跡は頭が最も多く、顔や首など約50カ所にも上っていた。
それらと別に鈍器で殴ったような打撲痕もあった。捜査本部は、硬いものか素手で殴った疑いがあるとみている。
少年は、凶器の包丁について「優亜さん宅の台所にあったものを使った。殺害後、道路に捨てた」と供述しているが、まだ見つかっていない。
動機について、少年は「小、中学校からの同級生だったのに、高校に入ると急に冷たくなったから」と話していたが、新たな供述から、優亜さんから侮辱されたと思い込んだとみられる。
2人の関係については、交際していたと話す先輩もいるが、「少年が一方的に好意を持っていただけ」と話す友人も多い。優亜さんの携帯電話には「ざっと見たが、少年のアドレス登録はない」(捜査幹部)という。
同校校長は、少年について「無遅刻無欠席で、成績も中の上だった。学校側から見ると、何の問題もない生徒だった」と話す。
しかし少年は、事件で右手にけがをし、制服に返り血を浴びたにもかかわらず、「自転車で転倒した」と母親や担任にも普段と変わらない様子を見せていた。警察に呼び出されたときも、「何ですか」と平然とした様子で、逮捕後も「食事はまだですか」「パンをゆっくり食べたい」などと言うなど特に変わった様子もないと、捜査幹部は説明する。
凶悪な殺害方法と、事件後の普段と変わらない行動に、ギャップが大きい。