東京都町田市の都立高1年、古山優亜(こやまゆうあ)さん(15)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された同学年の少年(16)が事件約1カ月前の夜、優亜さん宅前でじっと立っている姿が目撃されていた。事件当日、少年は、優亜さんの母君子さん(39)が出勤直後、チャイムも鳴らさずに玄関から侵入したと新たに供述。警視庁町田署捜査本部は、以前から優亜さん方の様子をうかがっていた可能性もあるとみて調べている。捜査本部は13日、少年を東京地検八王子支部に送検した。
少年は約1カ月前、団地4階の優亜さん宅に通じる階段の出入り口付近で、人を待つようにじっと立っていたという。中学時代の友人が目撃していた。優亜さん方は2人暮らしで、君子さんは通常、夕方に出勤し、夜は優亜さん一人で留守番をしていた。
また、調べでは、少年は事件当日の10日、学校帰りに自転車で優亜さん方へ行き、午後5時半過ぎに室内に入った。少年は「チャイムを鳴らさず無断で入った。台所で包丁を探し、居間にいた優亜さんに切りつけた」と供述しているという。
捜査本部は、少年がかなり前から優亜さんの日常を確認していた可能性があるとみている。ただ、こうした計画性をうかがわせる行動の一方で、制服のまま凶器を持たずに侵入するなど衝動的とみられる点もあり、殺意を抱いた時期について捜査を進めている。
また、優亜さんと少年の携帯電話を調べた結果、2人の間に通話の記録はなく、互いの電話番号の登録もないことが新たに分かった。事件の8日前に高校内で盗まれた優亜さん方の鍵が入ったバッグは、少年宅の捜索でも見つかっていない。
◇被害者の周り 自転車で回る姿も
「おとなしく口数の少ない人」。殺人容疑で逮捕された少年(16)を知る人たちの一致した印象だ。一方で、最近は変わった様子も見せていた。
少年は、母親と弟妹の4人暮らし。中学時代は少年野球チームにいた。レギュラーではなかったが、練習熱心。監督らは、試合でヒットを打ち、ガッツポーズで喜ぶ笑顔をよく覚えている。両親が応援に来ると張り切ったが、父親が病気になると練習を休みがちになり、父親が亡くなった中2の夏にやめてしまった。
小中学校の同級生によると「頭をたたかれたり、ちょっかいをかけられたりしやすい感じ」という側面もあった。
古山優亜さん(15)との関係は、どうだったのか。
2人が2年ほど前、仲よさそうに町田駅前を歩いているのを見た同級生は「付き合っていると思った」と言う。しかし今年7月には、ベンチに座った優亜さんと友達の周りを、少年がぐるぐると10分ほど自転車で回り続ける姿も目撃された。「優亜さんは嫌がっているようだった」という。
先月初め、少年が自転車で「アー」と叫びながら走っているところを複数の人が目撃している。「ちょっとおかしな印象を受けた」と、中2の男子(14)は話した。【種市房子、永井大介、曽田拓】