【キャンプデービッド(米メリーランド州)笠原敏彦】ブッシュ米政権は12日、ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで2日間の日程で今後のイラク支援策の協議を始め、正式政府発足後の治安情勢の評価や石油資源を復興に役立てる方策などを検討した。ブッシュ大統領はこの日の協議終了後、報道陣に対し、イラクの近隣国を中心に国際社会が「新たな民主国家」の支援を強化するよう訴えた。
バグダッドとテレビ電話で結んだ協議では、ハリルザド駐イラク米大使やケーシー駐留米軍司令官らがブッシュ政権首脳に対し、マリキ政権本格始動と「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の殺害を受けた最新情勢の説明と今後の政策への助言を行った。ケーシー司令官はイラク駐留米軍の削減については勧告しなかったという。
記者説明を行った政府高官によると、治安情勢では特にバグダッドと南部バスラに焦点が当てられ、「いかにバグダッド周辺で治安部隊を強化するか」などで検討が行われた。協議の狙いは「マリキ政権の(復興)計画を支援する」ことだと説明した。
ブッシュ大統領は協議後、「イラクの成功は新政府が国民に応える能力次第だ」と指摘し、恵まれた石油資源を「国民に役立てる最善の方法で新政府にいかに助言するか話し合った」と明かした。また、各国がイラクに約束した総額130億ドル(1兆4800億円)の支援を実施に移すよう求め、「イラクの近隣国はもっと支援する必要がある」と主張した。
米国には石油高騰で潤うアラブ産油国の一層の支援を求める声が強い。13日はブッシュ政権とマリキ内閣のテレビ会議が行われる。
毎日新聞 2006年6月13日 10時06分