【パリ福井聡】スペイン北東部カタルーニャ自治州で18日行われた州民投票は即日開票の結果、自治権を強化する憲章改正案への賛成が73.9%と圧倒的な多数を占め、承認された。反対は20.7%だった。改正案は独立ではなく地方分権を推進するもので、スペインの社会労働党政権は、長い独立武装闘争の歴史を持つ北部バスク地方にもこの流れを波及させ、非合法武装組織「バスク祖国と自由」(ETA)との和平交渉に弾みをつけたい構えだ。
憲章改正案の内容は、税収の州への配分拡大▽地裁判事や検事の任命権を州に移譲▽鉄道事業や移民許可証などの権限を州に移譲--など。成立すれば地方への自治権移譲の流れが鮮明となる。同州社会労働党のモンティーリャ第1書記は「明確な勝利。今日はカタルーニャにとって偉大な日だ」と勝利宣言した。
この結果を受け、サパテロ首相(社会労働党)は近く国会で、3月末に停戦を宣言したETAとの対話開始を正式に宣言する見通し。首相はカタルーニャでの分権推進をバスクにも適用することで、ETAの武装解除と民主政党への転換を促進させたい意向だ。
これに対し、保守派野党・国民党は分権推進に「スペインのバルカン化につながる」と反対。カタルーニャ独立を目指す民族政党も「カタルーニャが『国家』として認められ、空港と港の権限が付与されることが前提」と反対してきた。
カタルーニャ自治州や北部バスク地方はもともと鉱工業の発達で豊かな地域だったが、フランコ独裁政権時代(1939~75年)に弾圧を受け、独立を目指す動きが活発化した。
毎日新聞 2006年6月19日 10時46分 (最終更新時間 6月19日 10時47分)