山口県岩国市の胃と大腸がんの集団検診で、硫酸バリウム製剤を飲んだ市内の女性(85)が腸閉塞(へいそく)で死亡したことが16日、分かった。市は造影剤のバリウムが残って固まり、腸閉塞を起こした可能性があるとみて調査している。バリウムについて厚生労働省は昨年11月、「消化管内に停留すると腸閉塞などを引き起こし、特に高齢者では重篤化する」と副作用に関する情報を発表し、注意を呼びかけていた。
集団検診は、市がJA山口厚生連に委託して7月3、4日にあり、計110人が受診した。
亡くなった女性は3日午前、胃がん検診のためバリウム約150ミリリットルを飲み、検査後に下剤を服用した。5日になって腹痛を訴え、市内の病院の診察で腸閉塞を起こしていることが分かった。6日に手術を受けたが死亡した。
厚生連は検診後、追加の下剤を渡すとともに、水分を十分取るように指導する文書を配っていた。市健康福祉部の高木博部長は「バリウムと死亡の因果関係など情報収集に努めるとともに、再発防止策を検討したい」と話している。【大山典男】
毎日新聞 2006年7月17日