秋田県藤里町立藤里小4年、畠山彩香ちゃん(9)が水死した事件で、殺人容疑で再逮捕された母親で無職、畠山鈴香容疑者(33)が、殺害時刻から約15分後の午後7時過ぎ、自宅近くの商店などを訪れ、「彩香がまだ帰って来ないんだけど、見てないか」と聞いて回っていたことが分かった。畠山容疑者は「彩香がだだをこねたのでイライラして突き落とした」と衝動的な殺害を強調しているが、捜査本部は、事後の偽装工作まで考えていた可能性もあるとみて追求している。【岡田悟】
関係者によると、畠山容疑者が自宅から約250メートル離れた酒店を訪れ、彩香ちゃんの消息を尋ねたのは4月9日午後7時過ぎ。町内や他の商店、彩香ちゃんの友達の家も既に訪ねたとも話したという。店主は「動転した様子や、緊張感はなかった」と話す。5月に絞殺したとされる同小1年、米山豪憲君(7)の自宅も訪ね、父親に「彩香いませんか」などと尋ねていたという。
捜査本部の調べでは、畠山容疑者は同日午後6時45分ごろ、自宅から約3キロ離れた藤琴川の大沢橋から彩香ちゃんを突き落としたとみられる。約15分後には複数の場所を回っていたとすれば、事件直後から偽装工作を始めた可能性が高い。能代署に捜索願を出したのは、殺害から1時間後だった。
一方、この日の日没は午後6時10分で、山あいの大沢橋周辺は日暮れが早く暗くなっているため、サクラマスを見せようとしたという行為自体にも疑問が持たれている。畠山容疑者は豪憲君殺害事件でも供述を変遷させていることから、動機や殺害時刻にうそが混じっている可能性もあるとみて、慎重に捜査している。
毎日新聞 2006年7月19日 15時00分