活発化した梅雨前線による記録的な豪雨で22日、九州南部を中心に河川のはんらんや土砂災害が相次いだ。被災住民らは、避難先の公民館などで不安な一夜を過ごした。
◇被災住民ら不安な表情
全市に避難勧告が出た熊本県水俣市は22日午前3時に25カ所の避難所を開設。日中は地区の公民館などを含め三十数カ所に約1600人が避難したが、市街地の勧告は午後7時50分に解除され、多くの市民が帰宅した。
同市葛渡の東市民センター「葛彩館」には、03年7月に15人の犠牲が出た土石流災害を経験した宝川内集地区の約40人を含め、109世帯239人が避難した。
同地区の被災者の会代表、吉海(よしがい)英機さん(65)は午前7時半ごろ、隣近所に声をかけ合いながら、車で一緒に葛彩館に向かった。「昨晩はよく眠れなかった。早く雨が上がってくれればいいのに」と吉海さん。
同館は、同日夕には約104世帯228人の避難者で混雑した。しかし、午後6時を過ぎて夕食のおにぎりが配られると、避難者はようやく安堵(あんど)の表情を浮かべた。
同市薄原の主婦、古川ミツ子さん(70)は「雨が激しくならないうちに避難できて、ほっとしている」と早めの避難勧告を評価しながらも「ここは、人が多くて落ち着かない」とも。
また、同宝川内の吉海康男さん(77)は「体が不自由なのでここに来て安心している。早く雨がやんで家に帰りたい」と話した。【平野美紀、川名壮志】
毎日新聞 2006年7月22日 19時55分 (最終更新時間 7月22日 21時05分)