政府は27日付で米国産牛肉の輸入再開を正式に決め、米国に伝える。米食肉処理施設の事前査察などを通じて、日本向けの輸出条件を守る体制が整ったと判断したため。米政府が対日輸出を認めた35施設のうち34施設を対象とする。1月20日の輸入停止から約半年ぶりの解禁で、8月中旬までには再開第1号の牛肉が到着する見込みだ。
輸入解禁は、27日正午から農林水産省が開く牛海綿状脳症(BSE)対策本部(本部長・宮腰光寛副農相)などで決まる。
日本側の事前査察の結果、1施設は輸出条件を守る作業マニュアルが整っていなかったが、他の34施設は、問題がないか現在は問題が解決されたと判定した。政府は28日から全国で、消費者など国民向けに査察結果の説明会を順次開く。牛肉が日本に届くまでには、航空便なら数日、船便なら2週間以上かかるとされる。
日本の消費者は輸入再開に反対する声が多く、米国産牛肉への需要は当分の間は盛り上がらないとみられている。また、米国の飼料規制やBSE検査が不十分であることから安全性を疑問視する意見も根強い。
BSE発生で03年12月に輸入停止された米国産牛肉は、昨年12月、(1)生後20カ月以下の牛に限る(2)BSEの病原体がたまりやすい特定危険部位を除去する--ことを条件に輸入再開された。しかし、今年1月20日、特定危険部位の背骨が付いた肉が成田空港で発見され、再び輸入停止されていた。【位川一郎】
毎日新聞 2006年7月27日