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ひと:ブルーノ・キルンガ・クバタさん 新薬開発を目指す

作者:野田 武  来源:mainichi-msn   更新:2006-7-31 7:57:52  点击:  切换到繁體中文

元々は、ビール会社のエンジニアになりたかった。「彼らはいい暮らしをしていたので、自分もと思って」。故郷のコンゴ民主共和国(旧ザイール)から、ルーマニアの大学に進学して発酵の勉強を始めた。論文で日本人の名前をよく見かけたことから88年、日本へ留学。専門的に研究したくなり、8年後、睡眠研究で知られる大阪バイオサイエンス研究所(大阪府吹田市)に入ったことが運命を変えた。

 睡眠にかかわる物質と酵母の関係を研究するつもりだった。しかし、早石修・同研究所理事長に「人への応用は難しい」と言われた。「では何を研究すれば……」。悩むうちに、風土病の「アフリカ睡眠病」に苦しむ古里の人の姿がまぶたに浮かんだ。

 トリパノソーマという寄生虫が原因の難病で、アフリカ全土で年間30万~50万人が感染し、1~5年後に最後は眠るように死亡する。根治療法はない。「寄生虫が睡眠物質を分泌しているのでは」。そう考えて研究を続け、関係を突き止めた。「人を助ける研究でないと意味がないんやね」。大阪弁も板についた。

 03年に離日。今年、ケニアの首都ナイロビにある「中東アフリカバイオサイエンス研究所」の所長に。アフリカ17カ国の研究者を束ねるとともに、大阪府立大の乾隆・助教授と寄生虫を殺す新薬の共同研究を始めた。「アフリカの現状に、科学者として行動しないのは罪。今はお金をもらえなくても研究したい」

【野田 武】

 【略歴】妻と2男1女。子どもは日本生まれで、「来日の度、米とレトルトカレーを買って帰る」のが習慣。好きな食べ物は納豆と焼き魚。50歳。

毎日新聞 2006年7月31日 


 

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