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郵政民営化:業務承継の骨格提示 11年には株式上場へ

作者:竹川正記…  来源:mainichi-msn   更新:2006-7-31 10:51:29  点击:  切换到繁體中文

郵政民営化の準備・企画会社「日本郵政」(社長・西川善文前三井住友銀行頭取)は31日、来年10月の民営化後に経営計画の柱となる「日本郵政公社の業務等の承継計画の骨格」を政府に提出した。郵便貯金銀行(ゆうちょ銀行)と郵便保険会社(かんぽ生命保険)は民営化4年目の11年に株式上場、その後の5年間で株式を売却し国の関与を無くす完全民営化シナリオを明記した。

 一方で民営化後の収益力強化のため、ゆうちょ銀には個人・中小企業向け融資から信託銀行業務まで大手行並みの業務を早期に認めるよう要請、かんぽ生命も医療・傷害保険や変額年金保険の開発・販売の早期解禁を求めた。現行では1000万円が上限の貯金の預入限度額と保険の加入限度額の引き上げも主張しており、郵政民営化で経営が圧迫される可能性が高い地銀などからは「郵政肥大化」批判が高まりそうだ。

 郵政民営化では、日本郵政公社の郵政事業を持ち株会社となる日本郵政の傘下で(1)ゆうちょ銀行(2)かんぽ生命(3)手紙や小包を扱う郵便事業会社(4)全国2万4600局を運営する郵便局(窓口ネットワーク)会社--の4事業会社に再編する。

 新規業務以外でも「金融拡大戦略」は鮮明で、ゆうちょ銀は233店、かんぽ生命は81店の直営店を全国に開設。資本金に相当する純資産も、ゆうちょ銀に6兆8000億円、かんぽ生命には1兆円と手厚く配分し、発足当初からそれぞれの業界最大手である三菱東京UFJ銀行や日本生命保険をしのぐ自己資本の水準を確保する。

 一方、郵便事業会社は手紙やハガキを全国一律料金で提供するユニバーサルサービスを維持しつつ、アジアを中心とした国際物流事業にも進出。郵便局会社は他の3事業会社からの業務委託に加え、自動車保険など損保商品の窓口販売や東京、大阪の中央郵便局など都市部の不動産再開発事業に乗り出し、収益拡大を図る。

 4事業会社の収益(08年度当期利益)は新規業務を織り込まないで、ゆうちょ銀4280億円▽かんぽ生命770億円▽郵便事業会社380億円▽郵便局会社860億円--と、全社の黒字を見込んでいる。【竹川正記】

 ◇「金融拡大」を打ち出す

 日本郵政が31日政府に提出した郵政民営化後の経営計画は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の広範な新規事業参入方針を盛り込むなど「金融拡大」の姿勢を鮮明に打ち出した。計画は、民営化後10年以内にこの金融2社が完全民営化され国の関与が無くなることを強調し、「既存業務のみでは株式上場・処分に際して投資家の評価を得られない」と説明しているが、金融界からは「民業圧迫」批判が高まりそうだ。

 ゆうちょ銀は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(総資産約187兆円)を上回る規模(同約226兆円)の力に加え、国営で培ったブランド力という武器も併せ持つ。計画通りに個人・中小企業融資や信託銀行など新規業務への自由な参入が認められれば、体力の弱い地域金融機関にとっては大きな脅威になる。「市場の資金の流れをゆがめる公的金融を縮小する」という郵政民営化の理念に逆行するとの指摘も多い。

 一方で、ゆうちょ銀とかんぽ生命の金融2社の完全民営化には、一定の競争力強化が必要なのも確かだ。郵政民営化の目付け役である政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)は、「民営化推進」と「民業圧迫の回避」という“二律背反”のテーマをどう仕切るか、難しい手綱さばきを迫られそうだ。

 また経営計画は、赤字体質への逆戻りが懸念される郵便事業の再建策は明示していない。日本郵政公社が現在進めるトヨタ自動車の「カンバン方式」導入による効率化も、必ずしも順調ではない。ユニバーサル(全国一律)サービスの義務を引き続き負う郵便事業は、再建の展望を欠いたまま民営化に突入する懸念もある。【工藤昭久】

毎日新聞 2006年7月31日 


 

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