今年上半期(1~6月)に刑法犯で検挙された65歳以上の高齢者は2万2577人で、前年同期に比べ9%増加し、全刑法犯(18万746人)の約12.5%(前年同期比1.5ポイント増)を占めたことが警察庁のまとめで分かった。約6割は万引きだが、殺人、強盗、暴行などの凶悪犯・粗暴犯が増加している。高齢化社会の新たな問題が浮かび上がった。
同庁によると、高齢者の検挙者のうち、最も多い万引きは1万2583人(同7.6%増)。一方、殺人は183人、強盗53人と前年同期比でそれぞれ25%、23.3%増えており、特に暴行は657人と103.4%も増加した。高齢者数の増加の影響もあるが、人口10万人当たりの検挙数も前年同期の80.9人から88.2人に増えた。
倍増した暴行の動機は「憤怒」が549件、「恨み」が16件。若者同様、高齢者もたまった感情を爆発させる形で事件を起こしている。万引きは金目当ての常習者もいるが魔が差したケースが大半という。【遠山和彦】
▽松本良夫・東京学芸大名誉教授(犯罪社会学)の話 今の60代は元気。社会貢献というプラス面に働けば良いが、マイナス面が犯罪という形で出ている。よい意味でも悪い意味でも社会的に活動しているから、それに伴い犯罪も増えているのではないか。これまで警察は若者を警戒してきたが、今後は高齢者を含めた全世代に注意を払わなければいけない。
毎日新聞 2006年8月4日