出港する地球深部探査船「ちきゅう」=青森県八戸市の八戸港で、6日午後6時半、長沢晴美写す
世界最高性能の海底下7000メートルまで掘削できる海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」(5万7000トン)が6日、初の本格的な試験掘削のため、青森県八戸市の八戸港を出港した。9月上旬から八戸の北東約100キロ沖で、科学研究の世界最深度記録(2111メートル)を塗り替える約2200メートルの掘削に挑み、試料を採取して、11月中旬に帰港する予定。来秋からの本格稼働では、マントル物質の初採取や、巨大地震のメカニズムの解明を目指す。
ちきゅうは全長210メートル、幅38メートル。総工費は約630億円。石油や天然ガスの商業掘削用に使われるライザー掘削装置を、初めて科学研究に応用する。従来の方法に比べ、掘るスピードは2倍ほど速く、より深く掘ることができる。
装置は高さ92メートルのやぐらから直径約1.2メートルの鉄パイプを海底におろし、船と海底の掘削点をつないで固定。パイプは二重構造で、内側のドリルで海底を掘り進め、外側は泥水を循環させ掘った土を船上に効率よく運ぶ役割を果たす。掘削を進めながら約10メートル間隔で円柱状の地層を採取する。
国際的な掘削計画は来秋から始まる。巨大地震の震源域まで掘削して発生メカニズムを調べたり、地球深部のマントルと呼ばれる物質の初採取を試みる。【長沢晴美、下桐実雅子】