下8ケタがすべて同じ数字など「良番」と呼ばれる携帯電話番号の利用権を所有者から詐取したとして、兵庫県警暴力団対策課は30日午前、携帯電話番号販売会社「ナンバーアスリート」社長、中尾臣吾(31)=札幌市白石区=と、山口組系暴力団組員、保科宏和(32)=窃盗罪で受刑中=の両容疑者を詐欺と有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕した。良番の利用権を巡る事件は全国初。中尾容疑者はこの番号を約4億円で転売しようとしていた。県警は良番市場が暴力団の資金源になっている可能性もあるとみている。
調べでは、2人は昨年5月、兵庫県西宮市の会社経営者の男性が所有する、下8ケタがすべて同じ数字の携帯番号の利用権を詐取しようと計画。男性が契約する「ボーダフォン」の支店で偽造した委任状などを示し、番号の利用権を、保科容疑者名義に変更させた疑いがもたれている。
保科容疑者は中尾容疑者に数百万円の借金があり、借金を棒引きするなどの見返りに利用権を詐取するよう中尾容疑者が指示したという。中尾容疑者はこの良番を福岡県内の男性に約4億円で権利譲渡する契約を結んでいたが、売買は完了していなかった。
携帯電話会社を変えても同じ番号が使える「番号ポータビリティー制度」が導入されると、ボーダーフォンの良番をNTTドコモに機種変更すれば価値が上がるといわれており、県警は中尾容疑者がボーダフォンの良番に狙いを定めていたとみている。
毎日新聞 2006年8月30日